非常にあと味の悪い作品です。何でだろ?面白いんですが。
作品中の「生理的に受け付けない感じの兄」のせいか「根本的に何か間違ってる弟」のせいかもしれません。
製作年度:2006年
監督:西川美和
出演:オダギリジョー 、香川照之 、伊武雅刀 、新井浩文 、真木よう子 、木村祐一 、ピエール瀧 、田山涼成 、河原さぶ 、キタキマユ 、田口トモロヲ 、蟹江敬三
(allcinema ONLINE)
解説: 『蛇イチゴ』の西川美和監督が兄弟を主人公に、家族のきずなや絶望からの再生を描くシリアスドラマ。旧知の女性が転落死したことをきっかけに、法廷で裁判にかけられる兄と弟の姿を見つめる。『スクラップ・ヘブン』のオダギリジョーが“自由人”の弟を熱演。その兄役に『バッシング』の香川照之。実際撮影中に意気投合したという2人の息の合った演技が素晴らしい。人間のどろどろとした感情やエゴとそこからの救いを描く。
東京でカメラマンとして成功している猛(オダギリジョー)は母の一周忌で帰省する。彼は実家のガソリンスタンドを継いだ独身の兄の稔(香川照之)や、そこで働く幼なじみの智恵子(真木よう子)と再会し、3人で近くの渓谷に行くことにする。猛が単独行動している間に、稔と渓谷にかかる吊り橋の上にいた智恵子が転落する。 (シネマトゥデイ)
「オダジョーと香川照之は兄弟じゃないだろ〜」とつっこみながら観はじめましたが、息詰まる心理戦、後半は法廷劇に移り緊迫感のある作品でした。
兄弟はお互いの良い部分と悪い部分をよく知りあっているだけに、相手の良い所を素直に尊敬し、負けを認める気持ちを持っている反面、悪い所が鼻につく存在。
兄は弟のこずるい所・だらしない所・自分に甘い所が嫌。弟は兄が自己主張をしない所・見かけがダサい所・とろい所が嫌。
幼い頃は2・3才違いでも大きな違いで兄は優位に立ちますが、大人になってみれば兄より弟が優れてるなんて事はよくあること。でも兄弟間には「上の子、下の子」感が身につき、兄弟として培った意識から抜けることが出来ません。似た血を持つ同志であり親の愛情を奪い合うライバルでもあるのかもしれない。
「兄の無実を信じ・尊敬している」と言う弟がしたことは「女を寝取り、裏切る」事だった。結局奪うだけの生き方をしてきた弟は幼かった頃に兄が自分を支えてくれた腕を見て本当に大事な物に気付き、その後の兄弟の未来は観客にゆだねられます。
オダジョーは人を愛せない自分本位な男をよく演じていたように思います。キム兄(木村祐一)は判事役、関西弁で一見無駄話を挟みつつ法廷で犯人を追い詰める実はキレ者という役が上手くて見入ってしまいました。