「オタク 201!」(サイドバーの本)の176位です。『ミリオンダラー・ベイビー』の製作・脚本を担当したポール・ハギス初監督のヒューマンドラマ。アメリカ・ロサンゼルスを舞台に、様々な人種や階層の人々の怒りや哀しみ、憎しみ、喜びなどを多彩な登場人物たちによって描く。第78回(2005年)アカデミー賞作品賞、脚本賞、編集賞の3部門受賞。(goo 映画より)
人種差別が大きなテーマですが、観始めて30分間で人種差別・銃の善悪・犯罪の問題・神の存在などが頭の中を駆け巡ります。
日本にはほぼ同一民族が暮らしています。
ほとんどの人は違う人種の人と接したことがあっても、相手は日本語を話す人か、日本にいる外国人として日本に適応している人達。人種差別を意識せずに暮らす毎日。
しかしいろいろな人種の人々が「自由の国」に「アメリカン・ドリーム」を求めて来たという歴史を、アメリカは持っています。
アメリカの人種差別の現状はどうなのでしょう。表向きは「いけない」としながらも人種差別は(この映画ほど誇張されていなくとも)「ある」のでしょうね。やはり根深い問題です。
たくさんのエピソードの中で私は黒人のテレビディレクター、キャメロンの話が好きです。
彼は人種差別があることを受け止め、何とか白人たちに適応しようと努力しています。
差別主義者の警察官に妻を侮辱された時、彼は怒る事ができなかった。それを妻に「あなたは
自尊心を粉々にされた」と言われ怒りをあらわにします。
しかし彼が黒人に襲われた時、その黒人に「おまえは俺だけじゃなくお前自身も
貶めてる(おとしめてる)」と言います。
人は善を成すのも、悪を成すのも結局はプライド(自尊心)の問題なのではないでしょうか?「自分を貶めないように生きる」ために。
最後にこの映画の中で唯一人種差別をしていなかった青年が、誤解から黒人を射殺し死体を捨ててしまいます。彼にも心の奥に差別する心があった。
これから彼はどう生きるのかが気になります。
この映画ではいろいろなエピソードをからめながら最後に登場人物がお互いに関連を持つ終わり方をしています。よくこういう描き方で頭がゴチャゴチャになる映画がありますが、スッキリまとめられていました。
さすがに監督は「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本家だけあります。良い台詞がたくさん出て来てどれも聞き逃せません。俳優達も魅力的。
この人良いですね〜。黒人の裕福なTVディレクター役の
テレンス・ハワード。妻がチカンすれすれの嫌がらせをされるのを見ながら、成すすべも無く
涙ぐんでいる姿が素敵。アメリカでは人気があるようです。
生年 ■ 1969/03/11
出身地 ■ アメリカ/イリノイ州シカゴ
■TVドラマ出演を経て「陽のあたる教室」で劇場長編デビュー。「ベストマン」でインディペンデント・スピリット賞の助演男優賞候補に挙がるなど主に脇役として着実に力をつけ、「Ray/レイ」では独学で習得した演奏技術も披露して多才ぶりを発揮。群像ドラマ「クラッシュ」では人種差別に苦しむ演出家を好演し、「ハッスル&フロー(原題)」でオスカー主演男優賞にノミネートされた。今後さらなる活躍が期待される若手黒人アクターのひとり。